パターはどう選ぶ? 形状、素材、オススメモデルまで徹底解説!【2023最新版】

使い方・ハウツー
クロノスゴルフ「タッチ2.0 グルーヴィー」

本記事は、ゴルフ専門出版社「ゴルフダイジェスト社」のキャリア20年以上のゴルフギア担当スタッフが執筆しています。

パターとは?

パターとは、グリーンにオンしたボールをカップに入れるための道具です。

パット・イズ・マネーという言葉がある通り、パットはプロであれば賞金の額を決める極めて重要な要素であり、そのための道具であるパター選びも極めて大きな意味を持っています。

アマチュアしかり。ベストスコアを更新できるか、否か。コンペで優勝できるか否かは、結局のところ土壇場でのパットが決まるかどうかにかかっています。そのため、パターにはパターマニアと呼ばれる人が存在するほど、古今東西を問わずゴルファーの心をとらえる魅力があるのです。

自分に合うパターを選ぶと、驚くほど転がりが良くなったり、狙ったところに打ち出せたりできるようになります。そのために、まずはしっかりとパターについての基本を押さえておきましょう。

パターの形状

パターの形状で覚えておくべきは4種類。ブレード型、マレット型、ネオマレット型、そしてL字型です。ひとつずつ説明していきましょう。

ブレード型

まずブレード型。ピン型、アンサー型とも呼ばれる形状で、これはクラブメーカー・ピンが1966年に発表した「アンサー」というパターが原型になった形状。バックフェースのトウ(先端)側、ヒール(手元)側に重量を配した“トウヒールバランス”の革新的形状で、パターの大定番となっています。

シャープでありながらミスヒットに対する最低限の強さもあることから、とくにトッププロの使用率が高いのがこの形状です。

フェースは開く方向にも閉じる方向にも動きやすいため、どちらかといえばストローク中にフェースを開閉したり、イン・トゥ・インのヘッド軌道で打っていきたいゴルファーに向いています。シャープに打っていけるので、距離感を出しやすいのも特徴。

登場から半世紀がゆうに過ぎていますが、いまだに進化をやめない形状。それがブレード型です。

ブレードタイプのメリット:シャープな形状で距離感を出しやすい
ブレードタイプのデメリット:ミスにすごく強いわけではない

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マレット型

近年ではオデッセイの「#5」などが有名なマレット型。よく「カマボコ型」などとも呼ばれますが、malletは「木槌」という意味があります。

ブレードタイプに比べ後ろに長い形状となっていて、その分重心は深くて低くなりやすい。結果、ストローク中にフェースが開きにくく、ミスヒットに対してもブレード型よりも強くなります。

とはいえ、後述するネオマレット型に比べればその効果はおだやか。パター全体から見れば、シャープさとやさしさを兼ね備えたバランス型という印象になっています。

ネック形状の定番は途中でゆるやかに曲がり、ヒール側に刺さったベンドネック。それ以外にもブレードタイプに多いクランクネック、トップブレードのほぼ中央に真っすぐ刺さったセンターネックなどいろいろ選べるのもポイント。

プロのなかにもずっとマレット型を使い続ける選手もいる、優等生タイプの形状です。

マレットタイプのメリット:ブレード型とネオマレット型の中間的な万人向けの優等生的性能
マレット型のデメリット:とくにないが、強いていえばとがった個性のない傾向

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ネオマレット型

今世紀初頭にオデッセイの「ホワイトホット2ボール」という超大ヒットモデルが生まれたことにより一気に定番となったのがネオマレット型。

ネオマレットのなかでも「スパイダー型」と呼ばれるうちのひとつ

大きいサイズ。深くて低い重心がポイントで、フェースが開きにくく、真っすぐのストロークがしやすく、ミスヒットに極めて強いことで、とくにショートパットに無類の強さを見せます。

とにかく真っすぐ打ち出せる直進性が魅力。大型な分、ターゲットに構えやすくするアライメント機能も備わっているケースが多く、構えたときの安心感もあります。ストロークとしては、ストレート・トゥ・ストレートな軌道と好相性です。

一方で、繊細な距離感などは比較的出しにくいというデメリットも存在し、それを解消するために近年ではセンターネックやショートスラントネックを採用して操作性を出すパターンも増えています。

また、一言でネオマレットといってもその形状は千差万別。ツノ型、スパイダー型など、ネオマレットという分類を離れて一代派閥を形成する形状も増えています。

ネオマレット型のメリット:ミスへの強さ、直進性、ショートパットに強い
ネオマレット型のメリット:繊細なタッチが出しにくい

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L字型(L字マレット)

ネックがヘッドのヒール寄りに取り付けられ、シャフトとヘッドを横から見るとアルファベット大文字の「L」に見えることから名付けられたL字型パター。

近年では非常に数が少なくなっていますが、L字かつヘッドを後方に伸ばしてマレット形状にした「L字マレット」はプロや上級者を中心に根強い人気となっています。

ネックがヒール寄りに取り付けられているということは、パター以外のクラブ、具体的にはウェッジやアイアンに似たフィーリングになるということ。それだけに、よりショットに近い感覚でパッティングできるのがL字型のメリット。

プロや上級者に人気の「L字マレット」

一方、構造上ミスヒットに対する強さは出しにくく、それもあって上級者好みとなっているのがL字、あるいはL字マレット型です。

L字型のメリット:ショットに近い感覚でパットできる
L字型のデメリット:ミスヒットに強くはない

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どの形状を選ぶべきか?

このように、パターには大きく分けて4形状がありますが、一体どれを選ぶのが正解なのでしょうか? パターはドライバーなどと比べると、誰がどの道具を使ってもひとまず真っすぐ飛ばすことができます(初心者がプロモデルのドライバーを使ったら、まず真っすぐ飛ばせません)。

だからこそ、本当に自分に合うものを選ぶのが実は難しい。なので、パッと見て気に入った形状を選ぶのがベストなのですが、オススメなのは形状の異なるパターを、安い中古クラブでいいのでいくつか所有してみること。そして、コースで実際にそれぞれを試してみることです。

形状の違いによるフィーリングの違い、安心感の違い、ストロークへの影響、そしてなにより良い結果が得られるかどうか……それらを実地にテストすることで、「自分の好み」を見つけることができます。

ざっくり「この形状が好みだな」ということがわかれば、そこからさらにスペック面に踏み込んでいくのがオススメの方法です。

パターの長さ

続いてはパターの長さについて。多くの場合、パターの長さは33インチ、34インチ、35インチに大別されますが、なかには中尺パター、長尺パターと呼ばれるものもあります。

33インチ

やや短めの長さです。長いほうが扱いやすさはアップするため、パターに苦手意識を持っている人などは試してみる価値があります。

また、前傾角度を深く構えたい人も、やや短めの33インチは適します。世界のトップ選手のなかには33インチよりさらに短いパターを選ぶ人も。

また、両腕を伸ばし気味に構えたい人にもオススメです。

34インチ

もっともオーソドックスなパターの長さです。とくにこだわりがない場合、まずはこの長さを使ってみるのがいいかもしれません。

35インチ

35インチはパターの長さとしてはやや長め。上体を起こし気味に構えたい人や、そうでなくとも両腕を五角形にして吊るように構えたい人に向く長さです。

長い分やや振り子的な動きがしやすいということも言えるでしょう。

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中尺パター(≒38〜41インチ)

定義はありませんが、だいたい38インチから41インチくらいまでのパター中尺パターと呼びます。

この長さのパターで多いのが「アームロック」と呼ばれる打ち方に最適化したモデル。アームロックとは読んで字の如しで、パッティングの際に前腕にパターのグリップを密着させるスタイルです。

これにより腕とパターが文字通り一体化。慣れるまでに少々時間がかかりますが、圧倒的な安定感を得ることができることから、世界のトップクラスの選手にも採用されています。

総じて33〜35インチのノーマルレングスのパターに比べて重く、ストロークの安定感をかなり重視した長さといえます。

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長尺パター(≒45〜48インチ)

これまた定義はありませんが、ドライバーと同じかそれより長い45〜48インチの長さを持つのが長尺パター。グリップは離れた位置に2箇所取り付けられ、見た目にもかなりの存在感があります。

かつては、グリップエンドを胸につけ、そこを支点にストロークを行う「アンカリング」を行うのが基本でしたが、現在はその打ち方がルールで規制対象に。

それでも「長く・重い」ことによるストロークの安定感や、屈まずに構えられるためラインを見やすい、腰への負担がないといった様々な理由から、いまもプロや上級者を中心に根強いファンがいる長さです。

 

パターの素材

パターの素材は、そのほぼすべてがステンレス。具体的にはSUS303(サスサンマルサン)またはSUS304(サスサンマルヨン)がほとんど。SUS303はSUS304に硫黄やリンを添加してつくられる素材で、切削性に優れているのが特徴。

そのため、鉄の塊からパターを削り出す「CNC(コンピュータ数値制御)機械加工」といった製法で使われやすいという特徴があります。それに対して、より一般的なSUS304は鋳造でのパター製造によく用いられます。

ジャーマンステンレススチールでつくられたパター

覚えておきたいのは、ジャーマンステンレススチールと呼ばれる素材でしょうか。これはその名の通りドイツ製のステンレスで、パターの素材のなかでは最高級に位置付けられています。独特の打感が特徴で、高級パターに用いられます。

また、アイアンにも用いられる軟鉄もパターの素材として用いられます。

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パターのフェース素材

パターのボディがほぼステンレス(一部軟鉄)であるのに対して、フェース素材は千差万別。アルミ、銅、樹脂系などさまざまなものがあります。

フェースインサートがないほうが打感はソリッドになる

 

これは、フェースの素材によって打音・打感などが変化するため。プロによっても高い音が好きでボディの素材そのままのフェース面を持つ高い打音のパターを使う人もいれば、樹脂系インサートの軟らかい打感・打音を好む人がいます。

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フェースミーリング

ミーリングが施されたフェース面

もうひとつ、フェース面で見逃せないのがミーリングの有無。ミーリングとはフェース面に施された溝状の加工のこと。これも打感を左右します。
基本的に、金属そのままがもっとも打感がソリッド(硬い)で、ミーリングが施されることで打感は軟らかくなります。ミーリングが荒いほど打感は軟らかいと覚えておくといいと思います。

打感は軟らかいほど高性能、というわけではなく、あくまでも好みですが、打感や打音はタッチに影響を与えます。思ったよりも転がらない、思ったよりも転がるといったことがパターによってありますが、そこにはフェース素材やミーリングが関係している可能性があります。

好みと結果、両面から自分に合うものを選ぶのが良い方法です。

 

パターのグリップ

パターのグリップは、通常のショット用クラブよりも多くの種類があります。これは、パターだけがルール上グリップに平らな面があることを許されているから。


そのため、後ろがふくらんだピストルグリップ、逆にまん丸なもの、多角形形状などさまざま。

硬いものもあれば軟らかいものもあり、細いものもあれば太いものもあります。

覚えておきたいのは細いグリップほど手首を使いやすく、太いグリップほど手首を使いにくくなるということ。

一般に、手首は使わないほうがストロークが安定するといわれ、太めのグリップにはその点メリットが存在します。

ネオマレット型パターを使い、両腕が五角形を作る構えでショルダーストロークを行う、といった場合に合いやすいのが太めのグリップです。

では細いグリップがダメかといえばそんなこともなく、こちらにはショット感覚のタッチの出しやすさというメリットがあります。

ブレード型やL字型を使い、両腕で三角を作ってイントゥインでピシッとシャープに打ちたいタイプには細めが向く可能性があります。

また、グリップは重さもまちまち。同じパターに今使っているものよりも重いグリップを装着すれば、必然的にヘッドを軽く感じるようになり、逆もまたしかりです。

そのため、グリップを交換すると振り心地にも変化が生じます。気に入っていたパターのグリップを変えたら、どうも感覚が変わってしまった……という場合は、このバランスの変化が原因かもしれません(その場合、鉛などで対処できる可能性もあります)。

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パターのシャフト

パターのシャフトといえばスチールシャフトが一般的。あまりリシャフト(シャフト交換)の需要もないジャンルでしたが、最近は専用のカーボンシャフトが登場するなど、活況を呈しています。

製法の進化で「低トルクの軽量シャフト」も作れるようになっている

重いものも軽いものも存在しますが、トルクを抑えてパター自体のコントロール性を高めたものなどが人気。カーボンならではの設計の自由度が生かされています。
もちろん、リシャフト用のスチールシャフトも存在します。重さ160グラムといった重量級のものもあり、高速グリーンに対応するためにパターを重くしたい場合などに重宝します。

ストローク中やインパクト時のシャフトの挙動や振動がどうも気になる。あるいは今のパターそのままでパフォーマンスを上げたい。そんなときにはリシャフトを検討してもいいかもしれません。

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パターのロフト

ドライバーやアイアン、ウェッジと同様に、パターにもロフト角がつけられています。数字にしておおよそ3度前後といったところです。

空中に打ち出す必要のないパターでなぜロフトが必要かといえば、それはグリーン上でボールの自重によりわずかに沈んだボールをほんの少しだけキャリーさせるため。

ハイロフトパター

ロフト0度のパター

そのためだいたい3度前後のロフトがパターにはつけられているのですが、なかには他のクラブと同様にパターもロフトを選べるべきという立場から、ハイロフトにしてあるパターも存在します。
一方で、あえてロフトをゼロ、あるいはマイナスにして転がりを重視したモデルも登場。まさに、パターもロフトを選ぶ時代が目前に迫っている印象です。

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どんなパターを選ぶのが正解か

パットに型なしと言われます。そして、どんな形状のパターであれば、パターである限り「難しくてどうしてもボールに当てられない」なんてことはありません。

だからこそどれを選んでも良いと言われがちなパター選びですが、とくに形状や長さといった要素はアドレスやストロークと密接に関わることから、合う・合わないが明確に存在します。

「好きなプロが使っているから」という理由で選ぶのもゴルフの楽しみ。しかし、そのプロに合うものが自分に合うとは限りません。

なので、1打でもストローク数を減らしたいと望むのであれば、自分のパッティングスタイルを見つめ直し、それに合うパターを選ぶことが肝要です。

「どれでも当たる」からこそ、自分にピッタリと合うパターを選ぶことができたら、見違えるようなパフォーマンスを発揮してくれるかもしれませんよ!

 

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