ヘッドサイズ300cc、長さ44インチの「MOE86 300」
みなさんがお使いのドライバーのヘッドサイズはどれくらいでしょう? 最近では460ccのフルサイズが当たり前となっているので、やっぱり多くの方がヨンロクマルと回答されるかもしれません。
そんななか、今回試打したドライバーのヘッドサイズは……なんと驚きの300cc。20年前の中古ドライバーを試打したわけではありません。れっきとした最新モデルなんです。ちなみに1.5番ウッド、とか2番ウッド、みたいな位置付けではなく、あくまでも1番ウッド。ドライバーです。
出たぞ252ヤード! MOE86 300を打ってみた
さて、構えてみると、やっぱり非常に小さいです。お世辞にも大きく見えるということはありません。ただ、とてもキレイな形状をしていて、構えやすさは抜群です。小さいけれど安心感がないわけではないといった感じでしょうか。
このライバーが特徴的なのはサイズだけではありません。長さは44インチと最近主流の45.75インチより2インチ近く短く、ロフトはその分13度としっかりつけられています。また、ヘッドを重く感じる目安となるバランスはB9と非常に軽くなっています。
それだけに、とにかく振りやすさが抜群です。ヘッドが小さいことも空気抵抗の少なさを感じさせ、素振りの段階から非常にシャープに振り抜けます。
実際に打ってみた印象は……正直に申し上げて、過去イチの驚きと言っていいと思います。全然曲がらないのです。曲がらないというか、球が散らないというのでしょうか。ほとんどの球が左右20ヤードの幅に収まっています。コースで同じ結果であれば、OBとは無縁のラウンドができそうです。
ヘッドサイズの小ささと短く硬めのシャフトの影響で、とにかく振りやすく、その振りやすさが球のつかまりに直結しています。なんていうか、いい意味で棒っぽいというか、振り遅れる感じがしません。
ヘッドスピードがだいたい42m/s前後の私が打って、トラックマン計測で250ヤード台の飛距離がちゃんと出てくるので、「飛ばない」ということはまるでありません。最大飛距離が微減、平均飛距離は明らかにアップです。野球にたとえるならば、ホームランは少し減るけどその分ファウルが減って二塁打が増えるようなイメージでしょうか。
左右20ヤードの幅に収まったなかでもっとも飛んだショットの飛距離は252.1ヤードの軽いドローボール。スピン量は2060回転で、打ち出し角は9.9度。ヘッドスピード42.9m/sと44インチながらしっかりヘッドスピードが出ており、ボールスピードも61.6m/sと十分に出ています。ミート率は1.44と非常に高く、300ccの小さなボディでしっかりとヘッドスピードを初速に変えてくれていることがわかります。すごくいい球が打てました。
MOE86 300の「使い方」
というわけで、「MOE86 300」は驚くほど実戦向きののドライバーだったのでした。とくに、思い切りマン振りしても球が左右にブレないのには本当に驚かされました。どう打っても曲がらないというイメージです。そして、下手なりにフックを打とう、スライスを打とうとしてみると、それに応えて球筋がちゃんとフックっぽくなったり、スライスっぽくなったりしてくれます。「右だけは絶対にダメ」「とにかく左には行かせたくない」という場面で、これは非常にありがたい。
このドライバー、ティアップを低くすると低い球、高めにティアップすると高めの球が素直に出てくれます。アゲンストやフォローなど、風の状況によって少し球の高さを変えたいときなど、スウィングを変えると大概失敗するものですが、ティの高さを変えるだけで球の高さが変わってくれるのもうれしい点です。
操作性に優れているのに、球が散らない。気持ちよくつかまるのに、引っかけのミスは出ない。試打者である私も、居合わせたスタッフもみんなが驚愕したMOE86 300。もし、大きなドライバーに打ちにくさを感じているのならば、このドライバーは福音になる可能性を秘めていると思います。