ミドルアイアンではミスが出にくく、ショートアイアンは狙ったところに打てるという、アマチュアにとってメリットの多い設計に思えるが使い心地はどうだろうか。カスタムクラブの試打でおなじみの森山錬プロに8番と6番アイアンを試打、検証してもらった。
まず8番アイアンの見ための印象から。
「全体的にマットな感じのヘッドでかっこいいですね。通常のマッスルバックに比べ、一回り大きな形状なので構えたときに安心感があります。マッスルバックのトップブレードが薄いモデルは、インパクトで薄めにペチッと当たるような不安を持つ方も多いと思うんですけど、これはトップブレードに適度な厚みがあるのでそういった不安はないと思います」(森山錬プロ:以下同)
では、8番アイアンの試打開始。
■1球目
キャリー:161ヤード、トータル:170ヤード、ボールスピード:52m/s、打ち出し:20.1度、スピン量:6564rpm、頂点高度:34.4ヤード、落下角度:48.8度、弾道:ストレート
■2球目
キャリー:162ヤード、トータル:172ヤード、ボールスピード:52m/s、打ち出し:20.2度、スピン量:6337rpm、頂点高度:35.0ヤード、落下角度:43.0度、弾道:ストレート
■3球目
キャリー:163ヤード、トータル:172ヤード、ボールスピード:52m/s、打ち出し:19.7度、スピン量:5993rpm、頂点高度:33.6ヤード、落下角度:48.0度、弾道:ストレート
「パッと見、アスリート向けのマッスルバックアイアンなので、打感が硬くて当たり負けしやすいイメージがありましたけど、中空アイアンを打っているような簡単さと柔らかい感触があります。8番アイアンでこの打感の良さは癖になりますね。球が吸い付く感じで、『長いウェッジ』を打っているような感じがします」
ショートアイアンでポイントとなるショットの安定性やスピン性能に関しては。
「距離も毎回安定して飛んでいます。スピンも安定しているのでグリーン上でビタっと止まってくれる感じはありますね。ソールも抜けが良くショットの安定性に一役買っています」
次に2番手上の6番アイアンを打ってみる。
8番と6番で打感にどれほどの変化があるのか、打ってみる。
■1球目
キャリー:196ヤード、トータル:209ヤード、ボールスピード:58m/s、打ち出し:15.8度、スピン量:4374rpm、頂点高度:33.9ヤード、落下角度:45.1度、弾道:ストレート
■2球目
キャリー:188ヤード、トータル:203ヤード、ボールスピード:58m/s、打ち出し:14.3度、スピン量:4042rpm、頂点高度:27.5ヤード、落下角度:41.0度、弾道:ドロー
■3球目(フェード狙い)
キャリー:182ヤード、トータル:192ヤード、ボールスピード:57m/s、打ち出し:17.5度、スピン量:5743rpm、頂点高度:35.8ヤード、落下角度:48.0度、弾道:フェード
「まず打感が良い! 構造的にトランポリンみたいに球が弾む感じで、打感とかインパクトの感触も8番と同じ流れを感じましたね。それでいて機能的には球も上がりやすいし、6番でキャリーが180~200ヤード飛びますからね。飛び系アイアンじゃないかと思うくらい飛んでくれています」
さらに森山プロはやさしさを実現する設計の良さも感じた様子。
「この6番アイアンは、いい意味でショートアイアンのような丸みを持たせてあるので、構えたとき
に余分な力が入らないんですよね。感じとして1番手下の7番アイアンを持っているような安心感があります。もちろんやさしいだけじゃなく、ちゃんと上級者の要求に応えるような操作性も兼ね備えていて、かつやさしい、オールラウンダーという感じがしますね」
設計コンセプトは異なれど、「8より下」と「7より上」で違和感はなかったようだ。
「ミドル番手とショート番手で打っている感じが変わるアイアンは実は多いのですが、このアイアンは基本的な打感や打音の流れを途切れさせていないというのが特徴です」
最後にトータルのアイアンセットとしてtQアイアンを森山プロに評価してもらおう。
「まず、ふたつの番手とも打感が柔らかくボールが高く上がるという基本性能が素晴らしいです。アイアンはそこがコースで打つときの安心感につながります。なにより、ショートアイアンからミドルアイアンまで流れが同じ。コレが一番、ポイントが高いです。初心者向けのクラブから卒業して、次のステップに向かうために選ぶクラブの選択肢に充分に入るクラブだと思いますね」