この組み合わせが少しヘッドスピードが落ちてきたベテランゴルファーに、うってつけの組み合わせとのことで早速調査してみた。
まずは、この2つをアッセンブルしたゴルフショップ「ゴルフステージ成城」の吉田朋広店長に、話を聞いてみた。
「ヘッドのCF435ツアーは安定感とつかまりが適度にある、ディープフェースのプロモデルがちょっとしんどくなってきたという方にはこの上ないヘッドです。これと組み合わせるシャフトのラファールMa1.0は走り感と剛性感のバランスが良く、なによりCF435ツアーとの相性が抜群で、当たり負けせず高いミート率が期待できます。ヘッドスピード40m/sの人にピッタリくるようなスペックで、42m/sくらいが一番飛ばせる仕上がりになっています」(吉田店長)。
では、このカスタムドライバー、プロが打ったらどう感じるのだろうか。森山錬プロに試打してもらおう。まずは見た目の印象から。
「ヘッドはクセがなくてスッキリとした顔だなという印象ですね。フェース面がネックのギリギリ近くまで削ってあるので、小ぶりなヘッドなのにシャローでフェース面が大きく見えやすく、アドレスした時にロフトが見えているので球がつかまりやすくて上がりやすそうだという安心感が得られますね。安心感があるので自然に力みが抜けてくれます」(森山プロ:以下同)
ではさっそく試打に入るとしよう。まずは、一番飛ばせるというヘッドスピード42m/sで打ってみる。
キャリー:237ヤード、トータル:263ヤード、打ち出し角:12.8度、スピン量:1647rpm、球筋:ほぼストレートなドロー
「軽く振ったんですけど球も上がって、めちゃくちゃつかまりが良いです。最近、球がつかまりにくくなってもっとつかまえたいんだよなという人にはピッタリかなと思います。体が回らない朝一のティショットとかでスライスのミスが多いという人にも良いと思いますね。」
この球のつかまりや上がりを生み出しているのが、「ラファールMa1.0」シャフトの特性だと森山プロは指摘。
「このシャフトは、しっかりと動いてくれるんですけど、でも切り返しで変にグシャッと潰れちゃうとか負けちゃうとかがなくて、ちゃんと戻ってきてくれる『ほどよいしなり感』があるので、球がつかまるし、上がると思いますね。いい意味でバネのような感じで戻ってきてくれるのでタイミングが取りやすい。HS40前後で球が上がらないという人にはドンピシャでハマるんじゃないですかね。」
次にヘッドスピードを少し上げてパフォーマンスを検証する。
キャリー:254ヤード、トータル:278ヤード、打ち出し角:12.8度、スピン量:1948rpm、球筋:ストレート
「軽く振ったのに280ヤード近く飛んで自分でも驚いているんですけど、これはほぼミート率MAXみたいな感じですね。組んだ吉田店長にお会いしてみたいです(笑)」
■3球目 ヘッドスピード:45m/s
キャリー:248ヤード、トータル:275ヤード、打ち出し角:13.7度、スピン量:1562rpm、球筋:ストレート
ヘッドスピード45m/sを2本打った後で森山が注目したのは、安定した「打ち出し角」だった。
「ヘッドスピードが『42』から『45』に変わっても打ち出し角度が安定していますよね。これはヘッドとシャフトのバランスが凄く良いことを示していると思います。『42』と『45』の差はたった『3m/s』と思われかもしれませんけど、これって一般アマチュアの方って、一発目の朝と振れてきた午後との差ぐらいだったりするんですよ。だから、ヘッドスピードが変わってもタイミングが取りやすいというのは、クラブの仕事としてはかなり重要なことなので、その点ではこのクラブは凄く良いですよね」
最後に、ヘッドスピード40m/sで打ってみた時のクラブのパフォーマンスを検証した。
■4球目 ヘッドスピード:40m/s
キャリー:224ヤード、トータル:248ヤード、打ち出し角:13.8度、スピン量:2152rpm 球筋:やや大きめのフェード
「今、ちょっと開いてフェードしたんですけれど、そんなにスピンが入っていないじゃないですか、これも良いヘッドの特徴的なところですよね。打った後に『あ、ミスった』と自ら言わない限り、周囲からナイスショットと言われるレベルのショットがちょっとしたミスでも打てると思います」
森山は、スピン量が安定している点はフェースに秘密があると指摘した。
「ヘッドスピード『40』でも『42』、『45』でもスピン量が安定しているじゃないですか。これはフェースのミーリング(細かい削りの溝)が、けっこう影響しているんじゃないかなと思っています。今のショットもミーリングがなかったら、ちょっと滑った嫌な感触が手に残るんですけれど、今のは打った瞬間にスライスしたか気付かなかったくらいフェースにボールはくっついてくれていたので驚きました。」
■5球目 ヘッドスピード:40m/s
キャリー:231ヤード、トータル:255ヤード、打ち出し角:14.8度、スピン量:1874rpm 球筋:ストレート
「キャリーが230ヤード出ているので、コースではクロスバンカーを越えていけますね。打感に関しては、ヘッドスピードがゆっくりでも、ちゃんとつかまってくれる音とフィーリングがあります。」
試打を通して森山プロが感じた総評だが、それぞれのヘッドスピード帯によってデータがあまり変わらないところに、クラブのバランスの良さを感じるという。
「まず、どのヘッドスピードでも出球の角度が安定していましたよね。たとえば、ラウンド中でもヘッドスピードが出ている午前中はスピン量もある程度多くて球が上がってくれるんだけど、終盤になってヘッドスピードが落ちてくると極端に球が上がらなくなる場合もありますよね。このクラブは、どのヘッドスピードに於いても出球の高さが安定していて、ストレスなく上がってくれました。ラウンド後半に疲れてヘッドスピードが『45』から『40』に下がったとして、ある程度、弾道のイメージとかが変わることなく自分のゴルフが出来るという感じがしますね。コンセプト通り、ヘッドスピード40m/sくらいの方にベストなクラブだとは思いますが、ヘッドスピード35m/sくらいの女性から、競技とかに出られている45m/sくらいの人でも実力の発揮できるクラブだと思います」