前代未聞のパター3本セット! その正体は?
その謎を解き明かす前に、まずは「どんな」3本セットなのかをご説明していきましょう。この3本の違いはひとつ。ロフトがそれぞれ5度、7度、9度と違っているのです。形状はまったく一緒。
とはいえ、ひとつの金型からロフトの異なるパターを作ることはできないため、それぞれ別に金型を用意した、いわば“まったく同じに見えるまったく別物のパター”が3本セットになっているのです。
左から5度、7度、9度。ロフトが異なることでフェース面の見え方が違うのがわかる
一体なぜロフト違いが3本必要なのか。ここからは、このパターを設計したゴルフクラブアナリストのマーク金井氏のインタビュー形式でお送りしましょう。
マーク金井氏インタビュー。なぜパターが3本必要なのか?
ゴルフポケット(以下、Gポケ):パター3本セットは前代未聞の商品ですが、いったいどういう経緯で開発されたんですか?
マーク金井(以下、金井):まず考えていただきたいのが、ドライバーのロフト選びです。人によって、9度が合う人、10度が合う人、もっとロフトの大きいクラブが合う人といますよね。なのに、パターの場合はどうでしょうか。
3本とも形状はいたってオーソドックスなブレードタイプ
Gポケ:あまりロフトを気にして選んだことがないかもしれません。
金井:そう。ドライバーのロフトはみんな違うのに、パターはみんなだいたい「3度」。自分のパターのロフトを知らない人も多くいます。でも実際は、パターも人によって適正ロフトが違うんです。
Gポケ:それで5度、7度、9度を作ったというわけですか。なぜ寝たロフトが必要なのでしょう?
金井:棒の先に球体をつけてパッティングすると、インパクトは点と点の衝突、つまりロフトがない状態になります。そうすると、めちゃくちゃ転がりが良くなるのですが、距離感がまったく合わなくなるんです。
ロフトが寝たパターはその逆。ボールがフェースに乗ることで、余計な転がりがなく、距離感が合わせやすくなるんです。
通常のパターよりロフトが寝ていることで、フェース面にボールが乗りやすく、距離が合わせやすい
Gポケ:パターは“転がりがいい”のがウリのものが多くありますが……。
金井:ロフトを減らすとたしかに転がりは良くなります。それもメリット。ただ僕は、ロフトを増やし、距離感を合わせやすくするほうがメリットだと考えているのです。
金井氏はロフト7度と9度を併用。5度にも役割がある
Gポケ:なるほど。ここで最大のミステリーなのですが、なぜ「セット販売」オンリーなのでしょう? 「単品販売」のほうが買いやすい気が……。
金井:コストパフォーマンスの逆、パフォーマンスコストという考え方です。自分に合うパターのロフトを探すのは一生ものの体験。ゴルフのパフォーマンスを高めるその体験にコストを支払っていただきたいのです。
試してもらえればわかりますが、5度と7度と9度では、フェースへの乗り感がまったく違いますから。
金井氏は7度(真ん中)と9度(右)をダブルエースとして採用しているという
Gポケ:たしかに、ロフト7度、9度というのは体験したことがありません。
金井:パターはルールで「ロフト10度以下」と決められています。なぜルールで決められているか? メリットがあるからですよね。
Gポケ:マークさん自身は何度を使っているんですか?
金井:7度と9度の併用です。コーライグリーンは9度。ベントグリーンは7度です。また、9度のパターを使っていると少しずつハンドファーストが強まってしまう。そういうときに5度のパターで調整することもあります。
3本あることで、グリーンやコースによって使い分けたり、調子を整えたりすることもできるんです。

Gポケ:だんだん「3本セット、ありかも」という気持ちになってきました(笑)。
金井:パターのロフトが9度あると、ロフトが見える分ハンドファーストに打ちたくなります。自然とハンドファーストインパクトも身につくんです。パターだけでなく、ウェッジ、アイアンにまで好影響がありますよ。
グリップはマーク金井氏が主宰する「アナライズ」オリジナルロゴ入り
Gポケ:たしかに、ツアープロでも芝の伸び具合やコースの状況次第でまったく同じパターのロフト違いを使ってるって話を聞いたことがあります。
金井:プロの秘密ってそういうところにあるんです。5度、7度、9度のどれが合うか。それは実際に所有して、コースで打ってみなければわかりません。練習グリーンで何球か転がしてわかるわけがないんです。
パフォーマンスコストという考え方は時代に逆行した考えかもしれませんが、ゴルフの上達のためには必要な考え方だと僕は思います。
パターとしても高性能
驚きの3本セットも、こう解説されてみると納得がいきます。そして実際に使ってみるとロフト違いによる転がりの違いは明らか。
しかしじゃあどれが自分に合うのかとなると、金井氏が言うようにホームコースやよく行くコースのグリーンで転がしてみないことにはわかりません。
形状はいわゆる「いい顔」。フェース面が見えることで、自然にハンドファーストに打てる
もちろんマーク金井氏がこだわり抜いた形状で、構えやすさ・打感・操作性・寛容性といったパターとしての性能も高いバランスで保持していることは言うまでもありません。
5度か、7度か、9度か。自分に合うのは何度なのかを見極めるための3本セット。使えば“なにか”が見えてくることは、間違いないのではないでしょうか。
アマチュアゴルファーの試打インプレッション①
「9度が気に入りました。フェース面が多く見えるので、自然にハンドファーストで構えたくなる。パンチが入りにくいので大きなミスがなくなりそう。
ロフトが寝ていると転がりが悪いかな? と思いましたが、個人的にはあまりそう感じませんでした。5度、7度もそれぞれ微妙に異なる魅力があるので、コースや調子によって使い分けたいです」(40代、平均スコア90台)
アマチュアゴルファーの試打インプレッション②
3本打ち比べてみるとわかりますが、それぞれ打感が異なることが一番印象的でした。5度より7度、7度より9度のほうが「フェースに乗っている」感覚があり、個人的には7度のパターが好み!同じストローク幅でも転がる距離が違うため、高麗やベントなど芝の状況によって使い分けられるのがうれしいですね。(20代、平均スコア80台)
詳細情報
- 商品名:ハイロフトパター 3本セット
- 商品番号:985378
- ヘッド重量:約355g
- 総重量:約565グラム(34インチ)、約560グラム(33インチ)
- 長さ:33インチ・34インチ
- ロフト:5度、7度、9度(3本セット)
- バランス:C5(33インチ)・D4(34インチ)
- ライ角:72度
- ヘッド製法:精密鋳造 CNCミルド
- シャフト:オリジナルスチールシャフト(日本製)
- 右用のみ
※原材料の価格高騰や円安等の影響により、値上げいたしました。