つかまりのいいヘッドにつかまりすぎないシャフトの組み合わせ、あるいはつかまりすぎないヘッドにつかまるシャフトの組み合わせといったように、相反する特徴を持ったヘッドとシャフトを組み合わせると飛ぶ、という説がカスタムクラブ界隈では時折出る。
今回試打した「ミネルヴァ ヴァリアンテ」「青デラ(デラマックス07Dシリーズ)」の組み合わせがまさにそのパターン。つかまりのいいミネルヴァ ヴァリアンテと左にいかない青デラの組み合わせが飛ぶという評判が、関東の某ショップを発信源に静かに広まりつつある。
そこで、森山錬プロに打ってもらって真偽をたしかめようというのが今回の趣旨。クラブを構えた森山プロは、さっそく「見た目からしてつかまりそう」という。
「ドライバーを構えたときの印象として、『つかまり顔』と『逃げ顔』があると思うんですけど、これはトウ側のエッジが立っている感じがするので、ちょっとつかまってくれるだろうなという安心感があります。構えやすくて、好みの顔です」(森山錬:以下同)
では、試打開始。普段のヘッドスピードである40m/s台後半で打ってもらった。
■1球目
キャリー:279ヤード、トータル:302ヤード、ボール初速:71m/s、打ち出し角:9.5度、スピン量:2358rpm、球筋:ストレート
「構えた印象ではつかまるイメージだったんですけど、実際に打ってみるとシャフトの影響からか、トータルでつかまり過ぎない設計になっている感じがしました。飛ばしにいって振っていっても、フェースが返り過ぎて引っかかることがないので、どんどん振っていけます。」
実は、アフターゴルフの佐藤店長も「このミネルヴァ ヴァリアンテと青デラを組み合わせたドライバーは、若干スライス気味の人なんかが打つと、ややつかまったドローになるという感じで、ガッツリつかまるという感じではない」とのことで、まさに森山プロが感じた『適度なつかまり』の良さがこのドライバーの特徴なのだろう。
次は、意識的にスライスするように打ってみた。
■2球目
キャリー:251ヤード、トータル:285ヤード、ボール初速:68m/s、打ち出し角:9.5度、スピン量:2298rpm、球筋:スライス(30ヤード右)
「いつもならもっと右にスライスするような“やっちゃった”と思うような球なのに、このクラブの場合、ヘッドでスピンを抑える効果があるので思ったより右に行かずフェアウェイに残ってくれましたね」
【実際の試打の様子はこちらから↓】
■3球目
キャリー:272ヤード、トータル:295ヤード、ボール初速:70m/s、打ち出し角:11.6度、スピン量:2066rpm、球筋:フェード
「普段、コースではフェードを打つことが多いんですけど、つかまって逆球になって左に行くミスってメチャクチャ嫌なんです。それがちゃんとつかまっている。フェードでもバックスピンが2000回転くらいで収まっているというのは驚きです。ドローボールくらいの勢いのフェードボールでしたよね。これはかなりコースで使える感じです」。
次は、意識的に引っかけて打ってみる。
■4球目
キャリー:288ヤード、トータル:312ヤード、ボール初速:72m/s、打ち出し角:13.1度、スピン量:1912
rpm、球筋:フェード
「あれ、全然左に行かないですね。全然振っていける。それにめちゃくちゃ飛んでいますよね」。
普段、森山プロの持ち球がフェードであるということも関係しているかもしれないが、“少々の引っかけ球”を打とうとしても良いフェードになってしまい、振りにいった分312ヤードも飛ぶという結果に。これには森山プロも驚きだ。
試打後の感想をまとめてもらおう。つかまえて飛ばすヘッドとつかまり過ぎないシャフトの相性はどうだったのか。
「シャフトって、速度が上がるに連れて不安感が増していくものと、速度を上げていっても不安にならずに振れていくものがあって。デラマックスの青デラは、思い切り振ったほうが“逆に”曲がらないんじゃないかという感じを受けます。このしっかりと振ってもシャフトが遅れる感じがない『青デラ』と、左に行き過ぎない適度なつかまりの『ミネルヴァ ヴァリエンテ』ヘッドの組み合わせは、叩きに行くほど力が伝わるようなフィーリングがありましたね」