ゴルフクラブの「高反発規制」から15年、ルール適合外となって以降も根強い人気をキープして今も進化を続ける“高反発ドライバー”。その現在地点を、打ってたしかめてみました!
2008年にクラブの高反発規制が施行されてから早いものでもう15年が経ちました。クラブはその後も、低スピン化、高打ち出し化、高慣性モーメント化、反発エリアの拡大といった進化を続けています。
そんななか、ルールで規制された高反発ドライバーも、静かに進化を続けています。
今回試打をしたバディーハイパーもそんな高反発ドライバーのひとつ。「反発係数0.8501(CT値303)以上保証」のスペシャルチューニングモデルです。反発係数のルール上限は0.830なので、それを大きく超えた反発性能を持っていることになります。
ヘッドスピード30m/s台前半のゴルファー向けと、かなりターゲットを明確している点が特徴的なこのドライバーの個性は、反発性能だけでなくライ角にも表れています。なんとその数字、62度。通常ドライバーのライ角は59度前後といったところで、62度はアイアンのミドル番手くらいのライ角です。
ゴルフクラブの構造上、ライ角の数字が大きければ大きいほどつかまりが良くなります。さらにロフト角も12度と寝た設定。それにより弾道は高くなり、つかまりも良くなります。スペックからはつかまえて飛ばすことに特化した性能であることが伺えます。
高反発ドライバーの現在地点はどんなものか、早速試打結果を見ていきましょう。
試打は私・ゴルフポケット商品企画担当のOがインドア練習場・浜松町ゴルフで弾道を計測しながら100球行いました。私は平均スコア90台の超ふつうゴルファー。上手い人ではなく、フツーのゴルファーが打った結果どうなるか、そこを見ていただこうという趣旨です。
私のヘッドスピードはだいたい42m/s前後。このドライバーのターゲットはヘッドスピードが30台前半のゴルファーということなので、肩の力を抜いて軽〜く振っていきます。
まず印象的なのは、カキーンという金属質でさわやかな打球音です。非常に爽快で、いかにも飛んでそうだな〜という音がします。
そしてライ角が62度と非常にアップライトなことで、とても安心感があります。「これはつかまりそう!」と構えた瞬間に思うことができるのはスライサーにとってはメリット。実際、試打を通じて右に曲がる球は意識的に思いきりカットに打ったような場合しか出ませんでした。
このクラブ、たしかにヘッドスピードを落としたほうが結果が出る印象です。メーカーの方から聞いた話なのですが、反発係数には「これくらいの反発係数だと、ヘッドスピードがこれくらいの人が飛ばせる」といった、いわばヘッドスピードごとの“最適反発係数”のようなものがあるのだそうです。
そしてこのバディーハイパーに関しては、もっとも良いパフォーマンスを発揮したのがヘッドスピード30台で打ったときでした。
たとえばヘッドスピード39m/sで225ヤードというトータル飛距離が出た1打。ヘッドスピード30台で225ヤードはめちゃくちゃいい数字ですが、弾道をみると打ち出し角度が15.1度と極めて高く、スピン量が1931回転と極めて少ないことがわかります。そして、球筋は軽めのドローボール。
高反発なので初速が出るのはもちろんなのですが、このように高初速、高打ち出し、低スピンの「飛びの三要素」が、ヘッドスピード30台で打った場合に最適値となるように設計されているようです。
反発係数にはヘッドスピードごとに最適な数値があるということを立証するかのように、私のふだんのヘッドスピードである42m/s前後で振ると、もちろん飛ぶには飛ぶのですが、ヘッドスピード30台で振ったときのほうがパフォーマンスは上という印象。
これだけターゲットが明確になっているクラブもなかなかないよなあ、と思った試打でした。
ゴルファーの高年齢化に伴い、飛ばなくなったことでゴルフを諦めるゴルファーもいるなか、高反発の力でゴルフを楽しめる年齢の上限を引き上げることができるとしたら、それは価値あることだと思います。
高反発ドライバーはこの先どのように進化していくのか。“現在地点”を知ったことで、改めてウォッチしていきたいなと思ったのでした。