ランニングアプローチとは? メリット・デメリットや打ち方、使うべきクラブまで徹底解説!

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ゴルフのアプローチにはいくつかの種類があります。なかでも覚えておきたいのが、球を高く上げるロブショット、上げて転がすピッチ&ラン、そしてほとんど球を上げないランニングアプローチの3種類です。本記事では、この3つのアプローチの球筋の内、ランニングアプローチについて詳しく説明していきます。

※本記事は、ゴルフメディア編集長経験のあるキャリア20年超の執筆者が、過去の取材などに基づいて執筆しています。

ランニングアプローチとは?

ランニングアプローチとは、その名の通り「転がし」に特化したアプローチ。他の2種のアプローチと比較した、キャリーとランの比率は以下のようなイメージとなります。

  • ロブショット キャリー9:ラン1
  • ピッチ&ラン キャリー5:ラン5
  • ランニング キャリー1:ラン9

 

本記事では「ランニングアプローチ」について解説していく

打ち出しのみ多少キャリーが生じるものの、すぐに着地し、以降は転がしてピンの寄せるアプローチ。それがランニングアプローチだと定義できます。

ランニングアプローチの強み

ランニングアプローチをする理由はいくつかありますが、もっとも大きな理由はミスが少ないということに尽きるのではないでしょうか。

アプローチにおいては、球を上げる比率が高いほどショットの難度は上がります。そのため、同じ距離を打つのであれば、キャリーの比率の高いロブショットよりもほとんどボールを上げる必要のないランニングアプローチのほうがはるかにミスが少なくなります。

14本の中でパターはもっとも転がしに特化したクラブ

イメージしやすいのはパターです。パターはいわば転がしに特化したクラブですが、パターではダフリ、トップといったミスはほとんど出ませんよね。反対に、ロフトの寝ているサンドウェッジやロブウェッジでは、ダフリ、トップといったミスが頻出します。

ボールを高く上げるためには特殊な道具や打ち方が必要で、それには一定のテクニックを求められるためミスも出やすくなる。逆もまた真なりで、転がすだけならミスは出にくくなるのです。

ほぼストロークをひとつ無駄に失うだけのダフリ、下手をするとグリーンの反対側のバンカーやOBまで行って大怪我につながってしまうトップといった致命的なミスを大幅に防げるというだけでも、ランニングアプローチはスコアメークに有効なアプローチだといえます。

ランニングアプローチを選ぶべき場面

そんな強力なランニングアプローチが活きるのはどんな場面でしょうか?

まずはグリーンエッジの近くにボールがあり、ピンが奥に切られている場合です。奥ピンの場合、サンドウェッジなどでアプローチしようと思えば、ピンの近くまで思い切ってキャリーさせる必要があり、これはメンタル的にも技術的にも一定のハードルの高さがあります。

このような場面では、ひたすら転がすランニングアプローチは有効な選択肢となります。距離感を出すにはそれなりの練習が求められますが、ひとまずミスなくある程度寄せるということであれば、ランニングは最強と言えるでしょう。

ランニングアプローチは芝が薄いなどライが悪い場面や、グリーンの周囲を囲むように設けられた芝を短く刈り揃えた区域(=カラー)から楽に寄せられることができる

また、芝が薄いなど、ライが悪い場面でもランニングアプローチは威力を発揮します。冬場など、芝が薄く地面とボールの間に隙間がないことで、サンドウェッジなどロフトのあるクラブを打つのが難しい場面でも、ランニングアプローチでは難なく寄せることが可能です。

また、やや変則的ではありますが、砲台グリーンのグリーン奥から下りのラインに打っていく場合、砲台の“土手”に当ててワンクッションさせて寄せる、いわゆる“バンクショット”を打つ場合にもランニングアプローチは有効です。

また、同じ距離を打つ場合でも高い球を打つスウィングに比べてランニングアプローチを打つスウィングは幅が小さくなりやすく、それもミスが減る要因となります。

ランニングアプローチが有効でない場面

他方、ハザード越えの場合、崖下など高さが求められる場面など、一定の高さが求められる際はランニングアプローチは不向きです。

バンカー越え、池越えなど目の前にハザードがある場合はランニングではなく「ピッチ&ラン」や「ロブショット」を選択しよう

また、奥ピンの際に有効なのとは裏返しで、手前ピンの場合はランニングアプローチがやややりにくくなります。ランニングアプローチは基本的に勢い良く球を打ち出していくため、ピンがエッジから近いとオーバーしてしまうなど、距離感を合わせるのが難しくなってしまうのです。

基本的に、ボールとピンまでの間にボールを転がすだけの一定の距離がある場合に、ランニングアプローチは有効になる打ち方だと言えると思います。

ランニングアプローチのクラブ選び

では、ランニングアプローチを打つ際にはどんなクラブを使えばいいのでしょうか? サンドウェッジやアプローチウェッジなど、ロフトが寝ているクラブはボールが“上がってしまう”ので不向き。

かといって、ロフトが30度を下回るようなクラブだと、さすがに球の勢いが強くなりすぎますし、クラブ自体も長くなって取り回しが悪くなるのでこれまた不向き。

ある程度ロフトが立っている8番アイアンはミスがなく、十分なキャリーを稼げるためランニングしやすい

ベターなのは、ロフト35-45度くらいのロフト帯に属するクラブになってきます。具体的には8番アイアン、9番アイアン、ピッチングウェッジといったクラブ群です。

8番アイアンはロフトが立っている分ミスがなく、ある程度のキャリーもあってバランス良好。ピッチングウェッジはややキャリーも出しつつ、ピッチ&ラン風味に寄せていくイメージ。9番は両者の中間くらいの性能です。

このなかでどれを選ぶかは好みによる部分が大きいため、それぞれを練習場やコースで試してみて、もっともしっくりきたクラブを採用するのがいい方法です。

ランニングアプローチの打ち方

ランニングアプローチの打ち方には大きく分けてふたつがあります。ショットのように打つ打ち方と、パターのように打つ打ち方です。

ショットのように打つ場合、スタンスを狭めてハンドファーストに構え、わずかにオープンスタンスで打っていきます。すなわち、通常のアプローチショットのアドレスと打ち方そのままで、振り幅だけを小さくするイメージです。

ランニングアプローチではショットのように打つ打ち方と、パターのように打つ打ち方の2通りある

ショットの延長線上の打ち方となるので、ピンに対して狙っていく意識が出しやすく、やや上目からクラブが入るため、最低限のスピンが入る打ち方でもあります。

一方、パターのように打つ場合のアドレスはそのまま、パターです。肩幅くらいにスタンスを広げてスクェアに立ち、主にショルダーストロークでクラブを動かします。このように構えると、ライ角の関係でクラブのヒール側が浮きますが、それは気にせず、クラブのトウ側でヒットしていきます。

この打ち方のメリットはとにかくミスが出ないこと。ただでさえパターのような振り子ストロークになる上に、ヒール側が浮くことでクラブの接地面積が小さくなり、ダフリのミスが大幅に減るのです。また、必然的にトウ側でヒットする(=芯を外して打つ)ことになるため、球の勢いが強くなりすぎないのも状況次第で大きなメリットとなります。

どちらの打ち方が正解ということもないので、これも両方を試してみて、しっくりくる打ち方を採用してはいかがでしょうか。

ランニングアプローチのデメリット

ミスが少なく、強力なランニングアプローチにもデメリットはもちろん存在します。その最たるものは「距離感」です。

ランニングアプローチの場合、ボールが空中にある時間は短く、ほとんどが地上を転がります。それはすなわち、地面の傾斜の影響を強く受けるということ。そのため、他のアプローチに比べて傾斜を読む必要がより強く生じ、距離感を合わせるための工数がひとつ増えてしまうのです。

工数が増えるだけでなく、ランニングアプローチは球が強く出るため、慣れないうちはオーバーを繰り返すことになりがち。小さい振り幅でしっかりヒットして距離を合わせるのにはコツが必要で、そこには練習が欠かせません。

ランニングアプローチはミスこそ少ないが、距離感を合わせにくい。そのため、練習が必須

ピッチ&ランやロブショットに比べてミスショットは圧倒的に少ないものの、ピッチ&ランに比べて距離感を出すののには慣れが必要、それがランニングアプローチなのです。

ただ、じゃあランニングアプローチは一定の練習を積まないと使えないのかといえばさにあらずで、ライの悪い状況など、サンドやアプローチウェッジで打つとミスになりそうな状況では、そのミス耐性の強さから、どんな人でも選択肢に入れるべき。その上である程度距離も合わせられるようになったら、非常に強力なアプローチの選択肢になると言えるでしょう。

ランニングアプローチを採用すべきゴルファー像

ランニングアプローチを採用すべきなのは、ズバリ「アプローチをサンドウェッジで行っており、かつミスが多いゴルファー」と言えます。

サンドウェッジは、ドライバーや3番ウッド、5番アイアンなどと並んでクラブ自体の難易度が高いクラブ。ロフトが寝ている分だけ構造的にミスが出やすいクラブです。

そんな難しいクラブを多用することでスコアを崩しているのであれば、クラブを変える(=アプローチの球筋を変える)だけでスコアが改善する可能性が大いにあります。

「アプローチのミスが多いゴルファー」こそランニングアプローチを選択しよう

グリーン周りにはサンドウェッジに加えてランニングアプローチ用のクラブをもう1本持っていくクセをつけ、バンカー越えなどの状況でなければランニング用クラブを選ぶようにしてみると、スコアが見違えるかもしれません。

また、クラブを問わずにダフリ・トップのミスが出る人、アプローチに苦手意識を持っている人、ショートのミスが多い人なども、ランニングアプローチを試してみる価値があります。

1回、2回ではその良さはわからないので、おすすめはできれば1ラウンドをランニングアプローチで“通す”こと。そうすればランニングアプローチのメリットもデメリットも理解でき、少なくともゴルフの幅が広がるのは間違いがありません。

ランニングアプローチ専用クラブを使うのもアリ

一度は試していただきたいランニングアプローチ。それをミスなく行う上では、専用クラブを採用するのもいい方法です。

たとえば月刊ゴルフダイジェストに掲載されたのをきっかけにスマッシュヒットとなった「サブロクウェッジ」はそのうちのひとつ。

ロフト36度と8I相当、長さは34.5インチとパター並みの「サブロクウェッジ」はランニングアプローチ特化クラブ

ロフト36度と8番アイアン相当のロフトで、長さはパターなみの34.5インチと、「これでもか」とミスを減らす要素を詰め込んだランニングアプローチ専用クラブで、グリーン周りはこれ1本あればほとんどの状況から寄せていくことが可能。アプローチに対する苦手意識が払拭できるクラブです。

専用クラブを使うにせよ、既存のクラブを短く持って対応するにせよ、ランニングアプローチはミスなく寄せる強力なアプローチテクニック。ぜひ、お試しを。

 

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